【沖縄に住む人に届いてほしい】『ユンタクサンド』を読んで考えた|方言・戦争・語りがつなぐ記憶

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「沖縄文学」と聞いて、皆さんはどんな作品を思い浮かべますか?

沖縄に住んでいると、方言や沖縄戦について耳にする機会は多くあります。しかし、その歴史や文化を「文学」という形でじっくり考える機会は意外と少ないのではないでしょうか。

今回紹介するのは、崎山多美さんの『ユンタクサンド』です。

私は大学の授業で「転生系文学」を学ぶ中でこの作品に出会いました。最初は「転生」と聞いて、生まれ変わりを描いた物語なのかなと思っていましたが、読み進めるうちに、その考えは大きく変わりました。

この作品で描かれている転生とは、人が生まれ変わることではありません。語りを通して記憶が受け継がれ、人の存在が未来へつながっていくことでした。

この記事では、大学の授業で本作に出会った私が、作品の魅力や「記憶を語り継ぐこと」の意味について、自身の体験を交えながらご紹介します。

沖縄に住んでいる人だからこそ、ぜひ一度読んでほしい作品です。

『ユンタクサンド』ってどんな作品?

『ユンタクサンド』は、沖縄を舞台に、人々の「ユンタク(おしゃべり・語り合い)」を通して、戦争や家族、性加害、そして土地に刻まれた記憶を描いた小説です。

物語は、一つの出来事が順番に語られるわけではありません。

生きている人と亡くなった人、過去と現在が重なり合いながら、それぞれの記憶や思いが断片的に語られていきます。

沖縄の方言、標準語、英語が入り混じる独特の文章も特徴で、「何が起こったのか」を説明する作品というより、「人がどのように記憶を語り継いでいくのか」を感じる作品だと思いました。

この作品を読んだきっかけ

大学の授業で「転生系文学」について学ぶ中で、『ユンタクサンド』を読む機会がありました。

授業を受ける前は、「転生」といえば、生まれ変わりや異世界を思い浮かべていました。

しかし、この作品では「記憶が誰かへ受け継がれていくこと」そのものが転生として描かれており、とても新鮮でした。

読み終えたあと、「転生」という言葉の意味が、自分の中で大きく広がったように感じました。

① 転生とは「生まれ変わり」ではなく「記憶の継承」

この作品では、生者と死者、過去と現在がはっきり区別されていません。

戦争で亡くなった人や過去の出来事は、「語ること」によって現在へと呼び戻されます。

つまり、記憶を誰かが語り、それを誰かが受け取ることで、人や出来事は生き続けるのです。

私は、この作品が描く転生とは、生まれ変わりではなく「記憶を未来へつないでいく営み」なのだと感じました。

② 戦争や性加害を「語る」ということ

『ユンタクサンド』では、沖縄戦だけでなく、性加害という非常に語ることが難しいテーマも描かれています。

どちらも、簡単に言葉にできる出来事ではありません。

それでも、この作品では沈黙や曖昧さを含んだまま語られてしていきます。

私は、「すべてを説明すること」が大切なのではなく、「語り続けること」そのものに意味があるのではないかと感じました。

忘れられそうになる記憶も、誰かが語ることで未来へと受け継がれていく。

そんなメッセージを受け取った気がします。

③ 方言だからこそ伝わる土地の感情

私が特に印象に残ったのは、沖縄の方言で語られていることです。

方言には、その土地で暮らしてきた人の生活や文化、感情が自然と表れます。

実は以前、北海道へ行ったとき、自分では標準語で話しているつもりだったのですが、「沖縄っぽい話し方だね」と言われたことがありました。

逆に、北海道の人の言い回しやイントネーションに新鮮さを感じる場面もあり、同じ日本語でも地域によってこんなにも違うのだと実感しました。

その経験があったからこそ、『ユンタクサンド』を読んだとき、意味が完全に分からない方言であっても、その響きや感情、人柄が伝わってくるように感じました。

言葉は単なる会話の道具ではなく、その人が生きてきた土地や文化まで運んでいるのだと思います。

沖縄に住んでいる人だからこそ読んでほしい

沖縄戦について学ぶ機会はあっても、「語り継ぐこと」を文学を通して考える機会は多くありません。

『ユンタクサンド』は、沖縄で暮らしている人だからこそ、より深く感じられる作品だと思います。

普段使っている言葉や、身近にある土地の歴史を改めて考えるきっかけにもなりました。

もちろん沖縄県外の人にもおすすめですが、私は特に沖縄に住んでいる人に一度読んでほしい作品です。

文学だからこそ感じられる沖縄が、この一冊には詰まっています。

まとめ

『ユンタクサンド』は、一度読んですべてを理解できる作品ではありません。

だからこそ、読み返すたびに新しい発見があります。

私自身、この作品を通して、「転生」は生まれ変わりだけではなく、語りによって記憶や存在が未来へ受け継がれていくことでもあるのだと知りました。

また、方言には、その土地で生きてきた人の歴史や文化、感情が自然と宿っていることも改めて実感しました。

沖縄に住んでいる人、沖縄の文化や歴史に興味がある人、そして文学を通して「語り継ぐこと」の意味を考えてみたい人に、ぜひ読んでほしい一冊です。

📚 沖縄で暮らす私が読んだ沖縄文学シリーズ

沖縄には、美しい海や観光地だけではなく、その土地だからこそ生まれた文学があります。

これからも実際に読んだ沖縄文学を、自分の感じたことや体験とともに紹介していきたいと思います。

本を通して、沖縄の新しい魅力を一緒に見つけていけたらうれしいです。

『ユンタクサンド』/崎山多美

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